2社購買とは?BCPを踏まえたメリット・デメリットを徹底解説

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日々の調達業務では、価格や納期、取引条件など多くの要素を踏まえた判断が求められます。一方、特定の仕入先に依存した購買体制が続くと、条件の見直しが難しくなり、調達リスクが見えにくくなることもあるでしょう。
そこで本記事では、こうした課題への対策として、2社購買の意味や導入によって得られる3つのメリット、リスクを抑えて運用するためのポイントを解説します。調達リスクを抑えたサプライチェーンを構築したい方は、参考にしてみてください。
目次
2社購買の意味とは?

2社購買とは、原材料や部品、サービスなどを調達する際に、特定の1社だけに依存せず、あらかじめ2社以上のサプライヤを選択肢として確保しておく考え方です。単に複数の企業から購入することが目的ではなく、購買判断の幅を持たせ、状況に応じて柔軟に対応できる体制を整えることが重要です。
購買業務では、価格や納期、取引条件などのさまざまな要素を踏まえた判断が求められます。選択肢が1社に限られていると、条件の見直しや、比較を行う余地が少なくなるのです。2社購買は、こうしたリスクを避けるための基本的な考え方として、多くの企業で購買ルールのひとつとして採用されています。
2社購買の3つのメリット

2社購買には、以下の3つのメリットがあります。
- サプライチェーンリスクを分散できる
- 価格交渉における優位性を確保できる
- 特定のサプライヤに依存しない体制を作れる
それぞれのメリットを踏まえ、自社の運用にどのように活かせるか検討してみましょう。
サプライチェーンリスクを分散できる
2社購買を取り入れて調達先を分散することで、サプライチェーンリスクの低減につながります。
原材料や資材の調達は、自然災害や輸送トラブル、国際情勢の変化など、企業努力だけでは防ぎきれない要因の影響を受けやすい分野です。1社のみに依存していると、こうした外部要因が発生した際に代替手段がなく、供給が途絶えるおそれがあります。
一方、あらかじめ複数のサプライヤと取引関係を構築しておけば、状況に応じて調達先を切り替えやすくなり、事業への影響を抑えられます。2社購買は、サプライチェーンの混乱に備える実践的な方法であり、事業継続を支えるBCP対策の一環にもなります。
価格交渉における優位性を確保できる
2社購買を行うことで、価格や条件を客観的に比較できる環境が整い、交渉を進めやすくなります。
1社購買では、提示された価格が妥当かどうかを判断しにくく、値上げ要請に対して十分な根拠を持って交渉できないケースもあるでしょう。
ただし、発注量が分散することで1社あたりの交渉力が低下するおそれがあります。発注規模や購買戦略を考慮しながら、コスト最適化の方向性を検討することが重要です。
特定のサプライヤに依存しない体制を作れる
1社に依存した購買体制は、長期的に見ると調達面のリスクを抱えやすくなります。
取引が固定化すると、なぜそのサプライヤを選び続けているのかという判断基準が曖昧になり、市場環境や自社の状況が変化しても見直しが行われにくくなるからです。その結果、調達先の選定が慣習化し、他の選択肢を検討する機会そのものを失ってしまうことがあります。
2社購買を導入すれば、常に複数の候補を前提に検討できるため、取引先を見直しやすくなります。
2社購買の3つのデメリット

一方で、2社購買には以下のデメリットもあります。
- 不具合発生時の原因の特定が難しくなる
- 管理コストが増える
- サプライヤとの関係構築が難しくなる
2社購買を導入する際は、これらの課題も踏まえて自社に適した運用を検討しましょう。
不具合発生時の原因の特定が難しくなる
2社購買では、製品や資材に不具合が発生した際、原因の特定が難しくなることがあります。1社購買であれば、不具合の原因を特定のサプライヤに絞り込めます。しかし、複数のサプライヤから同一の資材を調達していると、どの調達先の資材が影響しているのかを特定する必要があるのです。
とくに、発注先を都度変更していたり、ロットや仕入先の管理が十分でなかったりすると、調査に時間がかかりやすくなります。その結果、本来は問題のない資材まで回収や交換の対象となり、余計なコストや工数が発生するケースもあります。
管理コストが増える
2社購買を行うと、請求書の管理や支払処理が煩雑になりやすくなります。加えて、見積の取得や条件比較、発注・納期管理など、購買業務に関わる作業も増えやすくなります。取引先が増えると管理すべき情報も多くなり、担当者の負担が大きくなるケースも少なくありません。
とくに、Excelや紙を中心とした運用ではデータ統合やリアルタイム共有に課題があり、確認や承認に時間がかかることもあります。こうした状態が続くと、2社購買そのものが目的化し、管理のための業務に追われてしまうリスクもあります。
サプライヤとの関係構築が難しくなる
2社購買では、発注が分散することで、特定のサプライヤとの取引量が少なくなり、関係性を深めにくくなる場合があります。1社購買であれば、長期的な取引を通じて優先的な取り扱いや条件調整を受けやすくなりますが、発注量が限られると、そうした対応を引き出しにくくなるからです。
とくに、生産能力や在庫確保といったリソース面では、事前のすり合わせが不十分だと、安定供給に支障が出るおそれがあります。2社購買を導入する際は、平常時の取引条件だけでなく、非常時にどのような役割を担ってもらうのかも含めて取り決めておきましょう。
2社購買のリスクを回避する3つのポイント

2社購買のリスクを回避するために押さえておきたいポイントは、以下の3つです。
- 条件を比較する基準を明確にする
- 運用が属人化しない体制を整える
- 購買プロセスを標準化して一元管理の仕組みを整える
これらのポイントを意識しながら、自社に適した運用方法を検討してみましょう。
条件を比較する基準を明確にする
2社購買は複数の選択肢がある分、比較基準を決めておかなければ判断の根拠が曖昧になってしまいます。価格のみを基準にすると、品質や納期などの重要な要素が見落とされるおそれがあります。
また、担当者ごとに判断がばらつくと、サプライヤの選定理由を説明できない状態にもつながるでしょう。あらかじめ重視する条件を整理し、共通の比較基準を設けておけば、判断のブレを防ぎ、トラブル時にも経緯を客観的に振り返りやすくなります。
サプライヤ選定のための相見積もりについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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運用が属人化しない体制を整える
2社購買を進めるうえでは、特定の担当者の経験や判断に頼らない運用体制を整えましょう。担当者個人に情報や判断基準が集中している状態では、異動や退職があった際に業務が滞るだけでなく、購買の経緯や判断理由がわからなくなります。
また、サプライヤとのやり取りが属人的になることで、取引内容が見えにくくなり、不正や癒着といった内部統制上のリスクが高まる点にも注意が必要です。判断の根拠や取引の前提を共有し、誰が対応しても同じ基準で購買を進められる状態にしておけば、業務の引き継ぎが円滑になるだけでなく、購買プロセスの透明性も高まります。
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購買プロセスを標準化して一元管理の仕組みを整える
2社購買による「管理コストの増大」を防ぐには、見積依頼から発注・検収までのフローを標準化し、アナログな作業を排除することが不可欠です。手順が整理されていない状態では、対応方法が担当者ごとに異なり、ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。不具合やトラブルが起きた際にも、どこで何が起きたのかを把握しづらくなるでしょう。
情報の集約を徹底し、取引先が増えても事務負担が膨らまない仕組みを整えることで、管理業務の肥大化を防げます。
以下の記事では、購買プロセスを可視化するためのポイントや、効率化するための方法を詳しく紹介しています。
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購買プロセスを一元管理するなら「購買管理システム」

2社購買を安定して運用するためには、条件の比較や発注・納品・検収といった購買プロセスを一元的に把握できる仕組みが必要です。とくに、間接材は品目が多岐にわたり発注頻度も高いため、管理の目が届かず現場の裁量に委ねられ、属人化しやすい傾向があります。複数のサプライヤを扱う場合、Excelや紙による管理では情報が分散しやすく、業務負荷の増大やミスの発生につながります。
2社購買を適切に管理するには、バラバラな購入先や発注フローをひとつに集約できる「購買管理システム」の導入がおすすめです。購買管理システムを活用すれば、見積内容や発注履歴をまとめて管理でき、誰が対応しても同じ基準で業務を進めやすくなります。
システムに集約された購買データを活用することで、支払業務の大幅な効率化も可能です。システムの導入により、購買業務で起こりがちな属人化や管理の煩雑さを解消し、購買業務を仕組みとして運用できます。
購買管理システムによって実現できることや選定基準については、以下の記事で詳しく解説しています。
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「べんりねっと」の概要を一つにまとめました。
購買管理システムの導入成功事例3選

間接材の購買管理システム「べんりねっと」の導入成功事例を3つ紹介します。
- 相見積の徹底により購買支出を約1割削減した事例
- サプライヤ管理を含めた発注工数を約50%削減できた事例
- 発注から会計処理までの業務時間を約65%短縮できた事例
自社でシステムの導入を検討している方は、参考にしてみてください。
相見積もりの徹底により購買支出を約1割削減した事例
建材メーカーの三協立山株式会社では、工場の副資材購買に「べんりねっと」を活用し、工場ごとに分散していた取引先の集約と購買プロセスの標準化を実現しています。
導入前は工場ごとに購買価格が異なっていたほか、相見積もりの管理や徹底が難しく、購買管理に関する業務負担が大きくなっていました。
べんりねっと導入後は、「見積商談機能」を活用することで、Web上で複数サプライヤへの見積依頼から比較選定までを完結できるようになり、相見積もり業務の負担を大幅に削減しました。相見積もりの徹底により、適正な価格競争が働く環境が整備され、結果として購買支出を約1割削減することに成功しています。さらに、サイト間一括検索機能による商品選定の効率化や、データ連携による支払処理の自動化など、継続的な業務改善と安定運用を実現しています。
本事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
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「三協立山株式会社」様 >>
工場ごとに分散していた購買先を集約。相見積の徹底で購買支出を削減
サプライヤ管理を含めた発注工数を約50%削減できた事例
食品製造業のカルビー株式会社では「べんりねっと」によって、発注工数の削減と内部統制の強化を実現しています。
導入前は、「購買品はすべて2社以上から相見積を取る」という社内ルールがあったため、現場担当者が都度見積もりを取り、価格交渉や比較を行う工数が大きな負担となっていました。
べんりねっと導入後は、購買部門があらかじめ交渉した単価をシステムに登録する運用へ変更し、現場は相見積を行わずに購買できる体制を構築しました。これにより、見積取得や比較を含めた発注工数をおよそ50%削減でき、利用者の約6割が10%以上のコスト削減を実感しています。今後は指定サプライヤを増やしてコスト削減を進めるとともに、グループ会社での利用率向上により業務効率化をさらに促進していく方針です。
本事例について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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「カルビー株式会社」様 >>
グループ全体で発注工数を50%削減。利用者の6割はコスト削減も実感
発注から会計処理までの業務時間を約65%短縮できた事例
医薬品受託製造を行う太陽ファルマテック株式会社は、3つの異なる購買方法を「べんりねっと」に一本化することで、約200社のサプライヤとの連携を通じて業務効率化を実現しています。
従来は複数のシステムを使い分けていたため、業務が煩雑でした。とくに「購入依頼書」を用いた運用で手作業が多く、申請集中時の停滞や請求書処理の負担が課題でした。
システムを「べんりねっと」に一本化したことで、発注から会計処理までの時間が約65%短縮できています。蓄積された購買データをもとに「購買品については相見積もりを原則化する」という新ルールの策定も可能になりました。さらに、 「見積商談機能」で複数サプライヤからの見積取得が容易になったことで、コスト削減活動に役立つエビデンスベースが整い、本格的なコスト削減に着手しています。
以下の記事では、本事例についての導入背景や選定理由について詳しく解説しているので、一度チェックしてみてください。
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「太陽ファルマテック株式会社」様 >>
200社のサプライヤと接続し、発注から会計処理までの時間を65%短縮
2社購買を無理なく続けるなら購買管理システムを活用しよう

2社購買は、特定のサプライヤに依存しない体制を整え、調達リスクの低減や価格交渉力の向上につなげる購買手法です。一方で、管理コストの増加や、サプライヤとの関係構築が難しくなるといった課題もあるため、比較基準の明確化や運用の標準化など、仕組みづくりが欠かせません。
2社購買を安定して運用するためには、購買管理システムの活用も有効です。まずは自社の調達体制を見直し、無理のない形で2社購買を取り入れながら、安定したサプライチェーンを構築しましょう。

