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QCDとは?取り組むべき4つの改善プロセスと派生フレームワークについて解説

  • 購買のイロハ

公開日:

QCDは、企業の競争力を高めるうえで欠かせない指標です。しかし、どれかひとつを重視しすぎると他要素とのバランスが崩れ、結果的に生産性や利益率が下がってしまうケースも少なくありません。

そこで本記事では、QCDの意味や重要視される3つの理由、改善するための4つのステップを解説します。さらに、データにもとづいた管理で、品質・コスト・納期の最適化につながる購買管理システムの活用についても紹介します。QCDのバランスに課題を感じている方は、参考にしてみてください。

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QCDとは

QCDとは、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の3つの要素をバランスよく改善することで、企業の生産性と競争力を高める考え方です。

QCDを構成する3つの要素の意味や改善例は、以下の通りです。

要素 意味・目的 改善例
Quality(品質) 製品やサービスの性能・信頼性を高め、顧客満足を維持
  • 品質検査の強化
  • サプライヤ選定時の品質基準の明確化
Cost(コスト) 購入価格だけでなく、調達・生産・物流などを含む総コストを最適化
  • 仕入先の見直し
  • 発注数量の適正化によるコスト削減
Delivery(納期) 必要なものを、必要なタイミングで確実に届ける体制の確立
  • 在庫管理の徹底
  • リードタイム短縮

たとえば、コストを下げて品質が悪くなると顧客満足度は下がり、納期が遅れると取引の信頼を失います。逆に、品質・コスト・納期をバランスよく管理できれば、顧客満足と利益を両立できるでしょう。このQCDの考え方は製造業で生まれましたが、現在では調達・購買・サービス業など、あらゆる業種で業務改善の基準として活用されています。

QCDが重要視される3つの理由

QCDが重要視される主な理由は、以下の3つです。

  • 顧客満足度・信頼性の向上
  • コスト競争力の強化と利益率の維持
  • 全社的な生産性向上と業務改善の促進

QCDの重要性を正しく理解し、自社の業務プロセスに積極的に取り入れてみてください。

顧客満足度・信頼性の向上

QCDを意識して業務を進めることで、製品やサービスの質が安定し、顧客の期待に応えられます。品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)は、いずれも顧客満足度を左右する要素です。どれほど安くても、品質が悪ければ信頼を失います。一方で、高品質でも、価格が高すぎれば継続的な取引は難しくなるでしょう。
適正な価格で質の高い製品を、約束した納期どおりに提供できれば、顧客からの信頼が高まり、継続的な取引につながります。

コスト競争力の強化と利益率の維持

単にコストを下げるのではなく、品質や納期を保ちながら適切なコストバランスを取ることで、調達コストを最適化できます。たとえば、工程の見直しやサプライヤの再評価、在庫の適正化などを進めることで、必要な品質を保ったままムダな支出を削減できます。
さらに、安定したコスト構造を確立することで、将来的な投資や改善活動にも取り組みやすくなるでしょう。結果的に、価格競争が激しい市場でも利益率を維持しやすくなります。

全社的な生産性向上と業務改善の促進

QCDを意識した取り組みは、部門単位の効率化にとどまらず、企業全体の生産性向上につながります。品質・コスト・納期を最適化することで、各工程のムダを見直し、業務の流れをスムーズに整えられるからです。たとえば、属人化していた業務の分解と共有を進めることで、工程全体のばらつきが減り、業務を一定の品質とスピードで進められる体制が整います。
さらに、AIやDXなどの技術の導入により、現場データを活用した改善が可能となり、リードタイムの短縮や生産スピードの向上を実現できます。

QCDにおける優先順位の考え方

QCDのバランスを考えるうえで、 もっとも優先すべき要素は「品質(Quality)」です。どれほどコストを抑え、納期どおりに製品を届けたとしても、品質が低ければ顧客の信頼を失い、結果として業績にも悪影響を及ぼします。

まずは製品やサービスの質の安定を最優先に考え、そのうえでコスト(Cost)と納期(Delivery)とのバランスを取ります。コストや納期は、顧客のニーズや市場環境に応じて調整できますが、品質を犠牲にしてまで優先することは避けるべきです。

QCDから派生したフレームワーク|QCDS・QCDR・QCDF

QCDの考え方は時代とともに進化し、より幅広い視点で業務を改善するために、多くの派生フレームワークが生まれています。
代表的な派生フレームワークは、以下の3つです。

フレームワーク 追加された要素 概要
QCDS Safety(安全) 作業者の安全管理や労働環境の整備を通じ、持続的な生産体制を築く考え方
QCDR Risk(リスク) 災害やサプライチェーンの混乱など、不確実性を踏まえてリスクを最小限に抑えるマネジメントを含む枠組み
QCDF Flexibility(柔軟性) 市場変化や顧客ニーズに迅速に対応できる体制を重視する考え方

これらのフレームワークは、QCDの本質である「バランスの最適化」がより実践的に進化したものです。業種や課題にあわせて取り入れることで、安全性やリスク耐性、柔軟性などの付加価値を高められます。

QCDを高める4つのステップ

QCDを高めるための4つのステップは、以下の通りです。

  1. 現状を見える化する
  2. 課題の優先順位をつける
  3. 改善しながら仕組みとして定着させる
  4. 継続的にモニタリング・最適化する

各ステップの内容を実践し、QCDを継続的に改善する仕組みを整えましょう。

1.現状を見える化する

QCDを高めるためには、まず現状を正確に把握し、課題を可視化します。現状把握では、現場の声とデータ分析の両方からアプローチしましょう。現場ヒアリングやモニタリングを通じて、担当者が日々の業務で感じている課題を抽出します。こうした情報を整理することで、工程のムダや作業負荷、トラブル要因が見えてくるのです。一方で、現場の感覚では見えにくい課題は、データ分析で補います。以下のような項目を評価することで、問題の構造を客観的に把握できます。

要素 評価項目の例
品質(Quality)
  • 返品率
  • 不良件数
コスト(Cost)
  • 在庫回転率
  • 設備稼働率
納期(Delivery)
  • リードタイム
  • 納期遅延件数

現場の声と数値データを組み合わせて、品質・コスト・納期の課題を見える化することで、改善の方向性がより明確になります。

2.課題の優先順位をつける

現状を把握したら、課題の本質を見極め、改善の優先順位を決めましょう。投資コストと期待する効果のバランスを見極め、費用対効果の高い領域から着手することが重要です。
たとえば、購買管理システムの導入は初期費用・運用費用が発生するケースもありますが、発注から検収までのプロセスの一元管理が可能です。その結果、人的ミスや重複作業を大幅に減らせるため、長期的にはコスト削減や生産性向上につながります。
このように、少ない投資で大きな改善が見込める施策を優先することが、効率的なQCD改善につながります。

3.改善しながら仕組みとして定着させる

QCDの改善は一時的な施策ではなく、継続して機能する「仕組み」として定着させることが大切です。
優先順位の高い改善策から順に実施し、実行前には現場へ十分に情報共有を行います。改善活動は、現場の協力が不可欠です。従業員が目的や手順を理解したうえで取り組めるよう、計画やスケジュールを事前に共有しておく必要があります。
施策を進める際は、目標値や評価指標(KPI)を設定し、実施後に効果を検証できる体制を整えておきましょう。

4.継続的にモニタリング・最適化する

改善策を実施した後は、継続的に効果をモニタリングし、最適な状態を維持する必要があります。導入した施策によって、生産性向上やコスト削減、納期短縮といった成果がどの程度達成されたかを、数値データで定量的に評価しましょう。現状把握と同様に、データの収集・見える化に加えて現場担当者へのヒアリングも行い、実際の運用状況を確認します。
期待した結果が得られていない場合は、原因を分析して改善策を見直す必要があります。

QCD改善における購買部門の役割

購買部門の調達プロセスは、品質・コスト・納期の起点となり、QCDの成果に直結する領域です。品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)のすべては、サプライヤとの取引や資材調達の段階から大きく影響を受けるからです。

購買部門は、単に安い資材を仕入れるだけでなく、品質基準を満たし、安定した供給が可能な取引先を選定することが求められます。さらに、調達データを活用してサプライヤのパフォーマンスを分析し、改善提案や新たな取引先の開拓につなげることも、購買部門の重要な役割です。

購買業務になんとなく課題を感じている方は、以下の資料も参考にしてみてください。よくある9つの課題と解決策について解説しています。

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データにもとづいてQCDを改善するなら「購買管理システム」

QCDを改善するためには、個人の感覚や経験だけでなく、データにもとづいた意思決定が欠かせません
とくに、間接材は一つひとつの単価が安いため劣後になっている企業が多い一方で、品目数や発注頻度が高いためその影響度は大きく、最適化に向けた改善が不可欠です。また、発注先も多く、担当者ごとに管理方法が異なりやすいため、属人化や情報分散が起こりやすい領域といえます。

こうした課題を解消するなら、「購買管理システム」の導入がおすすめです。購買管理システムを導入すれば、発注から検収までのデータを一元的に管理でき、品質・コスト・納期に関わる情報をリアルタイムで把握できます。調達コストの見える化や納期遅延の早期発見、サプライヤ管理など、改善の根拠となる具体的なデータを分析できます。また、承認フローや履歴が自動で記録されるため、内部統制の強化や法令対応にも有効です。

データを活用して課題を明確にし、改善サイクルを継続的に回すことで、全社的なQCDの最適化につながります。以下の記事では、購買管理システムで実現できることや、4つの選定基準について詳しく解説しています。

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購買管理システム導入で得られる3つの効果

購買管理システムを導入することで、以下の3つの効果が得られます。

  • 品質・コスト・納期を「見える化」して課題を発見できる
  • 属人化を防いで再現性のある改善サイクルを構築できる
  • データにもとづいた最適な調達判断ができる

購買管理システムの導入を検討している方は、参考にしてみてください。

品質・コスト・納期を「見える化」して課題を発見できる

購買管理システムを導入する最大のメリットは、品質・コスト・納期といったQCDの要素を「見える化」できることです。
従来の紙やExcelでの管理では、発注履歴や納期情報が分散し、どこで問題が発生しているのかを正確に把握しにくいという課題があります。しかし、購買管理システムを活用すれば、発注から検収までのプロセスを一元管理でき、どの工程に遅れやムダが発生しているのかをリアルタイムで確認できます。

さらに、仕入先ごとの取引データを比較することで、品質不良や納期遅延の多い取引先を特定することも可能です。とくに、間接材のように取扱品目が多い領域では、情報を整理・見える化するだけでも、業務効率の向上やコスト削減につながります。
以下の記事では、購買業務の見える化によって、集中購買の実現や内部統制の強化につながった事例を紹介しています。

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属人化を防いで再現性のある改善サイクルを構築できる

購買管理システムを導入することで、発注から検収までの一連のプロセスを標準化し、属人化を防ぐ仕組みを整えられます。担当者の経験や感覚に依存していた業務をシステム上で標準化することで、誰が担当しても同じ品質で業務を進められるようになります。

たとえば、承認フローや取引先とのやり取り、検収記録などを自動で記録・共有できるため、引き継ぎやトラブル対応もスムーズです。こうしたプロセスの標準化が再現性のある改善サイクルを生み出し、継続的なQCD向上を支える土台となります。
以下の記事では、べんりねっとの導入によって、誰が作業しても一定の成果を出せるようになった事例について紹介しています。

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データにもとづいた最適な調達判断ができる

購買管理システムを活用すれば、個人の経験や感覚ではなく、データにもとづいた合理的な調達判断が可能になります。発注金額や納期遵守率、品質トラブルの発生件数など、サプライヤごとの実績データを見える化することで、取引先のパフォーマンスを客観的に評価できるからです。これにより、価格だけでなく、品質と納期を総合的に考慮した、最適な調達先の選定が可能になります。とくに間接材のように取引先や品目が多い場合、データにもとづく判断は業務の効率化に直結します。

分析結果を改善策に反映してPDCAサイクルを継続的に回すことで、購買戦略の精度が高まり、企業全体のQCD最適化につながるでしょう。以下の記事では、購買状況が見える化したことで、購買業務の工数や戦略立案に関わる工数を大幅に削減できた事例を紹介しています。

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QCDを意識した購買体制で企業の競争力を高めよう

QCDは製造部門だけでなく、購買や調達を含めて全社的に取り組むことで、大きな効果を発揮します。
とくに間接材の購買は、品目や発注先が多くなりやすく、属人化やムダなコストが生まれやすい領域です。だからこそ、品質・コスト・納期を意識した購買体制を整え、データにもとづいて継続的に改善する必要があります。

紙やExcelでの管理に限界を感じている場合は、購買管理システムの導入によって、業務の見える化・標準化を効率的に進められます。QCDを軸に自社の業務プロセスを見直し、品質・コスト・納期をバランスよく高められる仕組みを整えましょう。



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