多拠点の購買管理でよくある4つの課題の解決策|集約への3ステップも解説

公開日:
拠点が増えるにつれて購買方法が拠点ごとに分かれ、全社で購買状況を把握しにくいと感じていませんか。多拠点の購買は、取引先や価格、承認の手続きが拠点任せになりやすく、放置すると管理の負担だけが増えていきます。
そこで本記事では、多拠点の購買管理で起きやすい4つの課題と、購買を集約する3つのステップを解説します。購買管理システムの活用や導入事例についても紹介しているので、自社の購買を見直す際の参考にしてみてください。
目次
多拠点の購買管理でよくある4つの課題と対処法

多拠点の購買管理でよくある課題は、主に以下の4つです。
- 拠点ごとに発注先や価格が異なりコストにばらつきが出る
- 全社の購買状況を本社が把握できない
- 拠点ごとに承認ルールが異なり統制が効かない
- 取引先やマスタの管理工数が拠点数だけ増える
対処法もあわせて解説しているので、参考にしてみてください。また、購買管理の課題と解決策については、以下の資料でも詳しく解説しています。
拠点ごとに発注先や価格が異なりコストにばらつきが出る
たとえば、本社で1個あたり300円で仕入れている事務用品を、地方の拠点では450円で購入しているといった状態です。拠点ごとの発注量は限られるため、数量を背景とした条件交渉も難しくなります。
長年の付き合いから取引先が固定され、他社と比較する機会がないまま同じ条件で購入し続けているケースもあるでしょう。
一件ごとの差額は小さくても、拠点数と品目数を掛け合わせれば、全社では相当な金額になります。全拠点の購買を集約して発注量をまとめれば、より有利な条件で仕入れやすくなります。とくに間接材は拠点ごとに購入する機会が多くなりやすく、価格差が積み上がりやすい領域です。間接材のコスト削減に取り組みたい方は、以下の記事もお役立てください。
全社の購買状況を本社が把握できない
発注データが各拠点の担当者の手元にしかない状態では、全社でいくら使われているのかが見えなくなります。集計しようとしても、拠点ごとに管理表の形式や品目の書き方が異なるため、データをそのままでは合算できません。
同じ商品を複数の拠点が別々に購入していても気づけず、コスト削減の機会を逃すことにもつながるでしょう。間接材のように少額で件数の多い購買ほど、日々の積み重ねが見過ごされがちです。
発注データが同じ形式で自動的に集まる仕組みがあれば、全社の支出を確認しやすくなります。購買データの見える化を進めたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
拠点ごとに承認ルールが異なり統制が効かない
承認の基準が拠点任せになっていると、誰の承認が必要かが拠点ごとに変わります。
具体的には、ある拠点では上長の承認が必要で、別の拠点では担当者の判断で購入できるという状態が生まれます。誰の承認を得て発注したのかが記録に残らなければ、あとから経緯をたどれません。
承認を受けずに発注し、書類をあとから整えているケースもあり、不正やコンプライアンス違反につながるおそれもあります。監査で証跡の提出を求められた際に、各拠点へ問い合わせて資料を集めることになれば、対応にも時間がかかるでしょう。
少額の発注が多い間接材ほど承認が省略されやすい傾向があります。そのため、金額や品目に応じた基準を全社で統一し、システム上で運用することが重要です。自社の内部統制に課題を感じている方は、以下の記事も参考にしてみてください。
取引先やマスタの管理工数が拠点数だけ増える
拠点ごとに取引先が異なると、契約書や請求書などの管理対象も増えやすくなります。
取引先が商品コードや価格を変更すると、各拠点の担当者がそれぞれ自分の管理表に反映しなければならないためです。同じ作業を全社で何度も繰り返し、更新が漏れると廃番になった商品を発注してしまうこともあるでしょう。
請求書の処理も拠点ごとに分かれるため、経理部門は取引先の数だけ突合の作業を抱えることになります。
商品や取引先の情報を一元的に管理し、全拠点が同じデータを参照する形にすれば、更新は一度で済みます。間接材は品目数が多く、取引先も分散しやすいため、拠点が増えるほど管理の負担が膨らみやすい領域です。
多拠点企業に適した購買方式|集中購買と分散購買の使い分け

購買方式は、大きく集中購買と分散購買の2つに分けられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 集中購買 | 分散購買 | |
|---|---|---|
| 発注方法 | 担当部署が全拠点分をまとめて発注する | 各拠点がそれぞれ発注する |
| メリット |
|
|
| デメリット |
|
|
| 向いている品目 | 全拠点で共通して使う品目や、購入額の大きい品目 | 拠点特有の品目や、すぐに必要になる少額の品目 |
どちらか一方に統一する必要はありません。品目の性質に応じて使い分けるのが一般的です。共通して使う消耗品は集中購買でまとめ、拠点特有の資材は分散購買に任せるといった運用が考えられます。
また、供給リスクへの対策として、同じ品目を複数の取引先から仕入れる「多社購買」を組み合わせる方法もあります。
重要なのは、分散購買を残す場合でも、購買フローが統一され、購買履歴が一か所に集まる状態をつくることです。とくに間接材は拠点ごとに購入されやすいため、購買方式を整理したうえで、全社で情報を共有できる仕組みが必要です。
以下の記事では、資材ごとに向いている購買方法や戦略について、さらに詳しく解説しています。
多拠点の購買管理を集約する3つのステップ

多拠点の購買管理を集約するために必要なステップは、以下の3つです。
- 拠点ごとの購買実態を洗い出す
- 品目・取引先・承認ルールを標準化する
- 全拠点の発注をひとつの仕組みに集約する
順に取り組むことで、拠点ごとにばらついていた価格や承認のルールが整い、全社の購買状況を本社から確認できるようになります。
拠点ごとの購買実態を洗い出す
最初に取りかかるべきは、どの拠点が何をどこから購入しているのかを洗い出すことです。具体的には、各拠点の取引先一覧と、直近1年分の発注データを集めるところからはじめましょう。品目・購入金額・発注件数・取引先の数が揃えば、どこに無駄が生じているのかを判断できます。
集まったデータを比較すると、同じ品目を複数の拠点が異なる単価で調達している状況や、特定の担当者だけが把握している取引が見えてきます。すべての拠点を一度に調べようとすると時間がかかるため、規模の大きい拠点や購入額の多い品目から着手するのが現実的です。
間接材は一件あたりの金額が小さく、実態が見えていない企業も少なくありません。まずは全社でどれだけの取引先と、どの程度の金額をやり取りしているのかを把握しましょう。
品目・取引先・承認ルールを標準化する
実態を把握したら、購入先や承認基準といった拠点ごとの違いを揃えます。同じ商品でも、拠点ごとに購入する業者やECサイトが異なると、品名の表記が揺れやすくなるためです。表記が統一されていなければ、全社でいくら購入しているのかを集計できず、ボリュームディスカウントによるコスト削減の機会も逃してしまいます。
そこで、全社で利用する購入先(サプライヤ)を絞り込んで推奨し、同一価格・同一品名で扱える状態を整えましょう。あわせて、金額や品目に応じた承認の基準も全社で統一します。ただし、すべてを一律にする必要はありません。拠点特有の事情がある品目は例外として扱い、共通化できる範囲から進めるほうが現場の負担を抑えられます。
この工程は成果が見えにくく後回しにされがちですが、飛ばすと導入後にデータの手直しが発生し、かえって工数が増えてしまいます。間接材は品目数が多いため、使用頻度の高いものから優先して整理しましょう。
全拠点の発注をひとつの仕組みに集約する
ルールが整ったら、拠点ごとに分かれていた発注をひとつの仕組みにまとめましょう。共通のカタログから商品を選ぶ形にすれば、拠点が変わっても同じ価格・同じ手順で発注できます。発注から承認、検収までの記録が一か所に残るため、本社は各拠点へ問い合わせずに状況を把握できるでしょう。
こうした仕組みをExcelや紙の運用でつくるのは難しく、拠点数が増えるほど管理が追いつかなくなります。そこで有効なのが購買管理システムです。拠点ごとに分かれていた発注や承認の情報を一元管理でき、拠点数が増えても運用の負担は変わりません。
とはいえ、システムを入れれば自動的に発注が集まるわけではありません。現場が必要とする商品を購入できなければ、これまでの取引先への個別発注が残り、その分の記録は仕組みの外に出てしまいます。拠点ごとに必要な品目が異なる間接材では、扱える商品の範囲がどこまで広いかが集約の成否を左右します。
多拠点の間接材購買を集約できる購買管理システム「べんりねっと」

「べんりねっと」は、コクヨグループの株式会社カウネットが提供する購買管理システムです。間接材の購買に特化しており、5,700社以上の導入実績があります。クラウド型のため拠点ごとにシステムを構築する必要がなく、全国どの拠点からでも同じ環境で発注できます。
べんりねっとの主な特徴は以下のとおりです。
- 外部・内部カタログの組み合わせで全拠点の購買を一元化できる
- 拠点ごとの条件に合わせた承認ワークフローを設定できる
外部・内部カタログを合わせて2,500社のサプライヤと連携した実績があり、拠点ごとに異なる取引先もまとめて管理できます。
また、システム導入時だけでなく、サプライヤのソーシングや請求支払の運用構築など、導入後の安定稼動やさらなる業務効率化まで幅広く相談できる点が強みです。拠点が全国に分散していても、専任の担当者に相談しながら運用を整えられます。べんりねっとの機能や導入の流れについて知りたい方は、以下の資料をお役立てください。
外部・内部カタログの組み合わせで全拠点の購買を集約できる
全拠点の購買をひとつの仕組みに集約するには、各拠点が必要とする商品をシステム上で購入できることが前提となります。べんりねっとには、以下の2つの仕組みがあります。
- 外部カタログ連携(パンチアウト連携)
- 内部カタログ登録
それぞれの特徴は以下です。
| 仕組み | 対象となる取引先 | 主な機能 |
|---|---|---|
| 外部カタログ連携 (パンチアウト連携) |
通販サイトを運営する大手サプライヤ | 各社の掲載商品をシステム上で検索・発注でき、消耗品を幅広く調達できる |
| 内部カタログ登録 | ECサイトを持たない地場の取引先 | 取り扱い商品を自社専用カタログとして登録し、同一画面から発注できる |
工場の近くにある資材店や、店舗が長年利用してきた業者からの購入も、これまでの関係を維持したまま同じ画面で扱えます。どちらか一方だけでは、システムで購入できない品目が残り、その分の発注記録は仕組みの外に出てしまうでしょう。2つのカタログを併用することで、全国に拠点を展開する製造業や小売業でも、拠点ごとに異なる間接材の購買をまとめて管理できます。パンチアウト連携については、以下の記事で詳しく解説しています。
拠点ごとの条件に合わせた承認ワークフローを設定できる
べんりねっとでは、予算や商品単価などの条件に応じて承認者を設定できます。少額の消耗品は拠点で完結させ、金額が大きい購入は本社を経由させるといった運用も可能です。拠点ごとの実情を踏まえつつ、判断の基準そのものは全社で揃えられます。発注が確定するまでに必要な承認を経る流れになるため、記録に残らない購買を防げるでしょう。いつ・誰が・何を・いくらで購入し、誰が承認したかの履歴もデータとして蓄積されます。
監査や社内チェックを求められた際も、各拠点へ問い合わせることなく証跡をたどれる仕組みです。IPアドレス制限やシングルサインオンにも対応しているため、利用者が各地に分散していても安全に運用できます。
【導入事例】工場ごとに分散した購買先を集約し購買支出を約1割削減

総合建材メーカーの三協立山株式会社は、工場で使う副資材の購買に「べんりねっと」を導入しています。導入前は工場ごとに個別の判断や手順で購買しており、取引先の選定基準や購買規定も統一されていませんでした。その結果、取引先は約400社に増え、購買価格が工場ごとに異なるうえ、購買データを集約できず可視化も困難な状況でした。
現在は2つの社内カンパニーが運営する14工場とグループ会社1工場の計15か所で運用し、副資材の購買はべんりねっとのみを使うルールとしています。取引先は約70社に集約され、工場ごとに異なっていた購買価格も統一されました。頻繁に購入する商品は「ローカルカタログ」、一般的な商品は「サイト連携カタログ」を使い分けています。購買できるマスタ件数は5,600万点以上にのぼります。
さらに、見積商談機能により複数の取引先への相見積をオンラインで完結でき、相見積のルールが徹底されました。その結果、購買支出は約1割削減されています。本事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
購買管理に関するよくある質問

購買管理に関するよくある質問と回答を以下にまとめました。
- 購買管理と調達管理の違いは何ですか
- 購買管理の5原則とは何ですか
拠点をまたいだ購買の仕組みを検討する前に、基本となる考え方を確認しておきましょう。
購買管理と調達管理の違いは何ですか
購買管理と調達管理の違いは、対象とする業務の範囲にあります。購買管理は、必要な物品やサービスを適切な価格と品質で、必要なときに購入できるよう管理する業務です。
一方で、調達管理は購買を含むより広い概念で、仕入先の開拓や契約、外注や在庫の確保までを対象とします。調達管理について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
購買管理の5原則とは何ですか
購買管理の5原則とは、購買業務を進めるうえで守るべき以下の5つの基準です。
- 適正な取引先の選定
- 適正な品質の確保
- 適正な数量の決定・確保
- 適正な納期の決定・遵守
- 適正な価格の決定
拠点ごとに判断が分かれやすいのは、取引先と価格の2つです。全社で同じ基準を持てば、どの拠点でも一定の品質と価格で購買できます。購買管理の5原則については、以下の記事で詳しく解説しています。
多拠点の購買はカタログとルールの整備で一元化できる

多拠点の購買管理は、拠点ごとに発注先や価格、承認の基準が分かれやすく、全社の状況を把握しにくい状態に陥りがちです。一方で、拠点の実情を無視して一律に集約しようとすると、現場が必要とする商品を購入できず、従来の取引先への個別発注が残ってしまいます。
まずは拠点ごとの購買実態を洗い出し、品目や取引先、承認ルールを標準化したうえで、全拠点の発注をひとつの仕組みに集約しましょう。とくに間接材は、拠点ごとに購入される機会が多く、カタログの整備とルールの統一によって成果を実感しやすい領域です。
自社の購買のどこに課題があるかを整理し、標準化できる範囲から進めてみてください。

